トウキョウソナタ(竹書房文庫た1-1) (竹書房文庫 た 1-1)の画像
本日公開初日の映画『トウキョウソナタ』を観てきました。
自分が支持する監督の一人である黒沢清監督作品で
『ニンゲン合格』以来?の家族もの作品です。
世界の黒沢と言われるぐらい知名度が世界的には
あるんですが、日本ではまだまだなんですかね。
大泉学園のT・ジョイで鑑賞したんですが、
公開初日なのに、席が半分以上空いていました。
2008年度のカンヌ国際映画祭のある視点部門で
審査委員賞まで受賞していて、カンヌでの会場では
鑑賞後スタンディングオベーションが起きたほどで、
実際鑑賞してみて起きてもおかしくない作品ではある。
この物語は父、母、長男、次男の家族のお話。
父はリストラされ失業したが、それを家族に隠し続けていた。
大学生の長男はアメリカ軍に入隊すると言い出した。
次男の健二は給食費を使って親に内緒でピアノ教室に通っていた。
そして、母親は・・・閉塞した日常から抜け出したくて
でも抜け出せない・・・そんな雰囲気を醸し出している。
長男がこの家族にとって新たな風をもたらす。
長男は世界という視点を持つ。
だから世界の為にアメリカ軍に入隊すると。
こういう世界の視点は通常は生まれない。
自分の日々の日常や家族や身近な友人の事で精一杯だ。
どちらが大切という問題ではない。
長男が新しい風を持ってきたというのがオモシロイ。
この新しい風に煽られて?権威ばかり気にする父にも
長男に離婚しちゃえば?と言われた母にも
父にピアノする事を反対されていた次男にも偶然?変化が訪れる。
それぞれにとんでもないことが起こり、ばらばらになっていた
家族に再生が訪れる。
再生と言ってもご立派な事が起きたわけではない。
父は交通事故に遭い、母は強盗に遭い、次男は逮捕される。
それぞれに起こった非日常的な事が次の日の朝に
あるハーモニーを生み出す。
そしてエンディング、中学受験での次男による5分間のピアノ演奏のシーン。
これはもう圧巻と言う他ない。
こうあって欲しい理想は持っていてもいいと思う。
だが、家族で抱える問題を理屈を語る事で解決・・・はありえない。
よく分からないが、なんだが、すごい一瞬を家族で過ごした。
これに勝るものはないのではないか。
それがなんなのかいつの時代も説明する事はできない。
その一つの表現として『トウキョウソナタ』は成功していると思う。
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